分散した株式はこのままでいい?

小さな会社の株主対策。
「分散した株主はこのままでいい?」
じつは、株を集める作戦開始は、いま以外にベストなタイミングがありません

設立したばかりの小さな会社では、株主は「ひとり」またはごく少数なのがほとんどでしょう。
出資してもらうにしても、ビジネスプランを伝えるにしても、顔も見えるし、想いも伝わりやすいし。

一方で、
昭和の時代に設立された会社のいまの状況として、株主が多数に分散している会社を多く見かけます。

主な原因としては、次のようなことがあります。
ケース1.「会社は家族」的な考えから、高度成長期時代に配当をわかちあうために、一族や、従業員や、取引先に株を渡している。
ケース2.「同族会社の留保金課税」で法人税が余計にかかるのを嫌がって、名義だけほかの人にしている。
ケース3.「創業者」がもともと100%持っていた株式が、2代、3代にわたる相続を経て、血のつながりのない嫁や婿の親族にまで分散されてしまった。
そして、
ケース4、「なにごとも特に起こっていない」から、なんとなくそのままになっていて、問題意識ももっていない。

そんな会社を先代から相続で引き継いでいると、いまの社長にとっては「会ったこともない。」「話したこともない。」株主がいることも普通です。

社長がひとりで切り盛りする小さい会社では、このままでいいのでしょうか。

ケース1で考えておきたいのは、「いま、誰と利益をわかちあいたいですか?」

 すでに関係性が薄くなった株主さんからは、さらに関係性が薄まる前に、株を譲ってもらいましょう。
 「赤字だから関係ない。」って? 赤字だから株を譲ってもらうのに、社長自身に都合がいいのです。 

ケース2で考えておきたいのは、「資本金はおいくらですか?」

 数年前に税制がかわっていて、資本金1億円以下の会社には、「同族会社の留保金課税」はもうありません。
 「単なる名義株」と社長が思っていても、株の名義を渡した事実関係や契約があいまいだと、当の本人または相続人は株主の権利や価格を主張してくることも。

ケース3で考えておきたいのは、「連絡をどのようにとりますか?」

 少しでも早く交渉を始めるのがいいでしょう。もし引退した先代が話せる状況なら、少しでも株主との距離が近い、ご健在のうちに話をまとめましょう。
 (ただし買取のタイミングは株価をみて。)
 いまは「定款」で、相続があったときには、会社が買取できる規定をつくっておいて分散を防ぐこともできます。

ケース4で考えておきたいのは、「いつ集めますか?」
 ほおっておくと、ますます株は分散して、社長の手に負えなくなります。
 会社が調子がいいときや、会社にとってのタイミングを選ばず、株主としての権利を主張したり、時価純資産など高額での買取を求められることも。

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とくに、
社長や、経営にかかわるコアの親族(または役員・従業員)で、議決権の「66.7%」を持っていない場合には、いそいで株式を集めておいたほうが安心です。
会社の重要な決断が、いま!のタイミングで進まないことがあります。
上の図の、真ん中の株主ですね。
さらに、社長個人で、この議決権を確保できれば、経営は安定します。

そして、
株式を集めるには、会社の経営状況の波を見極めてのタイミングが大事です。

「『額面』で動かせば問題ないでしょ?」なんて、
軽々しく口にする社長さんも見かけますが、これは大問題です。
税務上は、上場してない会社でも「時価」での取引が要請されており、取引金額との差額があると思わぬ税負担が生じます。

* 現状での株価がどうなっているか。
* 株式を動かすとしたら、どのようなパターンの選択肢が考えられるか。
* パターンごと当事者の関係性による、税務上の株式の「時価」とは。税務上のリスクとは?
* リスクも少なく、買い取り資金も少なく、株式を集めるための手順は?タイミングの選び方は?

いざ、自分の持ち株を会社に買い取ってほしいときに
「うそだ!現金化できないの!?」なんて事態に陥らないためにも、
分散した株式への対策は、すぐにも考えておきたいことです。

顧問契約に関係なく、ご相談に応じます。
税務コンシェルジュ塚崎純代

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