あなたのプロ論に矛盾はありませんか?

この夏は、東京税理士会での10回連続講義に参加させていただいてます。
毎回、法律家を中心に、各方面の先生方に教鞭をとっていただく贅沢な講義です。

テクニカルな税務の話だけでなく、
「そもそも税理士とは?」という職業観まで税理士自信が掘り下げる、稀有な時間です。
 
先日、
「専門職とは、その分野についての知識を完璧に携えた存在か。」
と投げかけられました。

医者にかかれば、病気を見極めて治してくれる、
と、無条件に期待してしまいます。
それが大きい病院であれば、なおさら。

わたしたち「税理士」に対しても、
一般の方々から「税理士に聞けば、税のことについては、すべてわかるはず。」と
安易に期待を受けていることは、容易に想像がつくところです。

15年、税理士業務に携わっていても、
勉強が足りないことばかりで、わかっていることのほうが少ないな。
と正直思います。

この間には、
50年以上この業務に関わっている方々や、
大手事務所ではんぱなく頭がよく、かつ、ものすごい勉強家の方々、
その仕事を専門にされてきた国税当局出身の方々など、
間違いなく私より多くの税務の実務経験も知識も見識も携えた方々と接してきました。

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ところが実際、どこにも、
税務の分野すべてに精通した税理士も存在しないのです。

この経験から、自然に
「税金のすべてをわかろうとしなくていい。」
「すべてをわからなくても劣等感をもつ必要がない。」と学びました。

同じような話が、先日のある法科大学院の教授からありました。 

そして、
プロないしは専門職とは、
「税に関することは何でも答えられる。」存在ではなく、
実務に携わり、わかることを増やすべく勉強するなかで、
「仕事をやればやるほど、わからないところが増えてくる。」ものであり、
「自分がわからないところの存在を、知っている。何がわからないのかに気づき、
何を調べればいいかを知っている。」ことこそが、
その在り方である。

と取りまとめていただきました。納得です。

また、
プロは、
依頼者ののぞむことや、のぞむ戦略に対し、のぞむままに対応するものではない。
依頼者は、
およそその分野の素人である。依頼者は、目先の利益の実現のために、思索を練りがちであり、
プロは、
依頼者の望むとおり、言うとおりに動くものではない。

税理士としての公正性とは、
プロとしての倫理観と知識、専門性に基づき、
目先の利益だけでない戦略をたて、依頼者のために動くことである。

と。

ビジネスの種類によって、また、ビジネスとのかかわり方によって、目指す姿があるかと思います。

あなたの目指すプロの姿に、できないものを追いかけているような矛盾はありませんか?

あなたのビジネスのプロの在り方とは、どんなものですか?

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